第2章 - 考察編

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- 考察編



1.“発狂”の意味

 

 “発狂という言葉はこのコラムのタイトルにも使っている言葉であり、“発狂”譜面というのは世間(?)一般的に、「プレイ難易度の高い譜面」のことを指す。しかし、この場合における  “発狂”の言葉の意味の捉え方は人によって若干違うのではないだろうか。筆者が考えるに、次のような大きく2つの考えがあると思う。

 

①「譜面を作った人が発狂している」という考え

②「プレイしているプレイヤーが発狂している(ように見える)」という考え

 

個人的には、①の考えのほうが自然な考えである気がする。しかし音ゲープレイヤーは、プレイしているものの難易度に拘らずしばしば一般人から「プレイしている姿が異常」と捉えられてしまうことが(残念ながら())よくある。確かに音ゲーのシステム上、まばたきをしづらいために、ある程度目を見開いていないといけないとか、難易度が高くなるとどうしても力が入ってしまうとかいう理由もあり、そう見られても仕方のない部分もあるのだが…。同業者から見ればそういうのはあまり気にならないところでもある。(クラッシャーとかは置いておいて。)

 そう考えると、ここでの“発狂”というのは本来①②両方の意味を含んでいるが、上級者になるにつれて②の考えは薄まっていき、相対的に①の考えが強くなっていくのではないだろうか。

たとえば超上級者が高難度BMSに挑戦しているとき、傍から見れば異常な譜面をやっているように見えるが、本人は自分のことを棚に上げて「こんな譜面を作る人間は発狂しているに違いない」と思っている…というのは十分に考えられるケースである。

 

ここからはやや無理矢理な考えかもしれないが、その他にも①の考えが強くなる理由として考えられるのは、自尊心から来る自己防衛の一つではないかとも思う。たとえば、“発狂譜面とは何か”ということを誰かに説明するとき、「プレイすると俺が発狂しちゃうから発狂譜面って言うんだよ!」というプレイヤーはあまりいない気がする…()

“発狂している”という状態は社会的・文化的にあまり良い評価とは思われないだろう。そこで、発狂しているのは自分のせいとは思いたくないので、譜面を作った人のせいにしてしまう…という、単刀直入に悪く言えば“責任転嫁”である。これは先ほどの「こんな譜面を作る人間は発狂しているに違いない」という考えの説明にもなっている。

 

[※補足※]

なにやら音ゲー上級者をボロクソに言っているようにも見えますが、そういう意図はまったく含んでおりませんよ!なぜなら筆者もその中の一人なのですから…()

 

 

 そういうわけで、最後に締めくくりとして、以上で述べた仮説をここにまとめておく。

“発狂譜面”というのはプレイヤーのレベルによって捉え方が変わってくる可能性があり、上級者になるにつれて「譜面作者が発狂している」という考えに至りやすくなる。

 


2.“発狂”を測る新単位の導入 [n/s]

 

 発狂譜面には“明確な定義”というものが存在しない。本家や高難度BMSに限らず、何の音ゲーでも曲ごとにレベル分けはされているが、なにか共通の単位によって分けられているわけでもなく、そのレベルはまさに“感覚である。そのため、本家・難易度表ともに難易度についての意見の交し合いは某匿名掲示板などで毎日のように頻繁に行われている。

 もちろん人によって譜面のジャンルに得手不得手は存在するし、プレイヤーのレベルによっても譜面の難しさの見え方は変化してくる。よって、“ここからが発狂である”という明確な定義を付けるほうがナンセンスであると思う。

 

 しかし、筆者は“発狂”の定義についてある程度の目安となる単位が考えられるのではないかと思ったので、それをここで提案しようと思う。その単位とは、1秒あたりに降ってくるノート数』(単位: [notes/sec])というものである。ここではひとまずこれを“密度”と呼ぶこととする。

1曲を通しての密度の計算なら、総ノート数を曲の長さで割れば良い。長さといっても、厳密には最初のノートから最後のノートを叩いた瞬間までの秒数であるが。一つ例を挙げれば、今試しにAA(ANOTHER)の秒数を大雑把に計測してみたところ113.72秒だったので、この曲の密度は、

   1834[notes]  ÷ 113.72[sec]    16.13 [notes/sec]

と計算できる。ただこの方法の欠点は、アーケードに収録されている曲はどれもほぼ2分前後であるから、本家の『quasar』や『Do it!! Do it!!』のように間奏部分がスカスカである場合、つまり同程度のレベルの曲よりも総ノート数が少ない曲の場合に、他の曲よりも数値が低くでてしまうという点にある。

つまり1曲を通しての密度の値はたいして参考にならない。そこで、1小節単位などの細かいユニットごとで密度を求めることが出来れば、これはある程度難易度の指標とすることができるのではないか。


以下に、任意のBPM・小節数・その範囲でのノート数において、密度を計算する式の導出過程を載せる。(なお、[]カッコ内は単位を表している。)

()若干数学的な内容が入ってくる上、コラムの進行に特に問題はないので読み流してもらっても構いません()




式を見ただけではピンと来ないので、試しに簡単な値を入れて軽く検証してみよう。BPM120で、単押しのバスドラムを4分のリズムで「ドン、ドン、…」と、坦々と打ち続ける譜面を考えてみよう。直感的に、1秒当たり2回ノートを叩くことになるということがわかると思う。1小節の間で4つノートがあるので、式に代入するのは以下の3つである。

 

・ ノート数 = 4

BPM = 120

・ 小節数 = 1

 

これを先ほどの式に代入すれば密度は2[notes/sec]となり、ひとまず正しいことがわかる。

(以下、この単位を[n/s]と省略して表記することとする。)

 

次に感覚的に考えてみると、小節数を2倍にすればノート数も2倍になるので、密度は変わらないはずである。またノート数だけが倍になれば密度も倍になり、BPMだけを倍にしても密度は倍になるだろう。ここで前項の式を見てみると、先ほどの式はこれらのことをうまく説明できるということがわかる。

 

 ちなみに勘の良い人ならば、この式をちょっとだけいじることによって、何拍子の場合でも適応できる式に変形できるということに気付いたのではないだろうか。3/4拍子でも、 6/4拍子でも、また某曲のように7/8拍子でも構わない。4/4拍子である曲が圧倒的に多いために、ここではその説明は割愛するが、興味がある人はx/4拍子の場合の式を導出してみると面白いかもしれない。

 

 なおこのコラムの後半は『攻略編』となっているが、そこで早速この値を使ってみたいと思う。

 

 


3.密度[n/s]から“難しさ”への値補正

 

 先ほどの[n/s]の値がすべての“難しさ”の基準とは言えないことは、2.の冒頭で述べたとおりである。たとえば、本家『Ⅴ』のANOTHER譜面に見られる、あのいわゆるデニム譜面を考える。あの部分の密度を例の式に当てはめて計算してみると35[n/s]となり、これはあの『蠍火』ANOTHERのラス殺し2小節、24.675[n/s]の値の実に1.4倍以上もある。難しさはただ単に『単位時間あたりのノート数』だけではなく、他にも要素が絡んでいるということがわかる。

 それでは、一体どのような要素が大きく関わってくるのであろうか。ざっと考えてみたところ、以下のようなものが考え付いた。

 

・ スクラッチ密度

・ 縦連打密度

・ ソフラン度

・ 単調度

・ レーン寄り補正

4-3パターン補正

 

 ここでは6つ思い浮かんだが、仮にそれぞれの要素について補正値α[1]~α[6]を定めるとする。実現可能かどうかはわからないが、α1~α6をそれぞれ関数化することができれば、先ほど求めた密度[n/s]6つの補正値を掛け算することで、真の難易度に近似させることができるのではないかと考えた。

 前半3つについては特に説明を加えなくてもおわかりになるだろうと思う。当然、3つともその要素が増えれば増えるほど難しくなるはずである。後半3つは…というと、うまい名称が思いつかなかったというのもあるが、少し説明を加えなければいけないと思う。

 

まず『単調度』というのは、簡単に例を挙げると『嘆きの樹』ANOTHER序盤の同時押し地帯のような箇所に関わる要素である。あの部分は5つ同時押しなどがたくさん降ってきて、BADはまりをよく誘発させられる箇所である。ここで、同じ5つ同時押しでももしあの部分が『12467鍵同時押し』のように常に単調な形で降ってきたらどうだろうか。誰も難所だとは思わず、むしろ絶好の回復地帯となってしまうだろう。

もう一つ例を挙げるなら、『MENTAL MELTDOWN』中盤の1357同時押し地帯である。ここがもし白鍵同時押しではなく、それぞれ1個ずつ白鍵を適当に抜いた歯抜け譜面だったとしたら…?BADはまりだらけになって、それはそれはとても悪質でつまらない譜面となることだろう。

 このことから、うまく説明は出来ないが、同時押しや縦連打が多い譜面においては、“単調であればあるほど難易度は下がるのではないかと考えられる。

 

 次に『レーン寄り補正』について。これは、トリル譜面などが皿側のレーンに寄った場合は、逆側に寄った場合に比べて(プレイヤーの運指にもよるが)多少なりとも難しくなるであろうということである。スクラッチ密度とやや関わりがあるかもしれない。


 『4-3パターン補正』とは、簡単に言うと『当たり譜面かハズレ譜面か』という指標である。先ほど『Ⅴ』のデニムを挙げたが、あれが『1234567』トリルであるか、また『2356147』トリルであるかによっても難易度は変わってくるだろう。当然、それぞれ『当たり譜面』『ハズレ譜面』と言われるものであり、当たりのほうがスコア・コンボ共に出しやすい譜面となる。

 『1357246』の譜面にランダムをかけると何通りの譜面が考えられるであろうか。計算すれば簡単にわかるが、35通りである。ここで、この35パターンについてそれぞれ固有の“補正値を考えるというものである。先述の例では(数値は適当だが) 1234567』なら0.5倍、『2356147』なら1.5倍…といった具合である。もちろん運指などの問題で、人によってそれぞれ『当たり』『ハズレ』の基準は変わってくるので、この限りではないだろうが。

 

 ここで『単調度』についての補足を少し挟もう。この単調度は同時に、『餡蜜のしやすさ』の度合いでもあると考えられないだろうか。『V』のデニム地帯で『2356147』が降ってきた場合を考えると、このパターンはハズレ譜面であるが『単調である』ため、餡蜜をしようと思えばしやすい譜面であり、パターン補正の増加分が帳消しになって結果的には難易度はさほど変わらない、といった具合である。


 

 以上より、難しさは簡単に測れるものではないが、密度[n/s]に何か補正値を掛け合わせることにより、難しさをある程度近似して数値として表すことができるのではないか、というのがこの項の本旨であった。機会があればまた再考してみたいと思う。




4.[おまけ]“ゴリラ人間”ってなんなんだー?

 

 唐突に『ゴリラ人間』などという奇怪なワードが出てきて、音ゲーマーであっても聞いたことのない読者がほとんどであろうと思う。これは高難度BMSプレイヤーの一部の間で、言わばある種の“業界用語”として日常的に使われている単語なのである。

 由来はというと、残念ながら不明である。筆者も気が付いたらよく意味も分からず使っていた。っていうか、実のところ正確な意味も不明である() 何なんだろうね。

 

 とりあえずわかっていることは『ゴリラ人間』という言葉は音ゲー、殊に(というかほとんどの場合)BMSにおいて、高難度曲をクリアまたはプレイする人間に使われるということだけである。そのほか、『ゴリラ人間』の生態については、根拠は無いが次のような様々な仮説が飛び交っている。

 

 ・ 高難度BMSを愛するあまり、いつの間にか姿がゴリラになってしまっていたから

・ 高難度BMSを愛するあまり、言葉を忘れて「ウホ、ウホ」としか言えなくなってしまったから

3次元の住民ではないらしい(4次元(F.D.)か、もしくはそれ以上か?)

・ バナナの絵文字を(文脈に関係なく)異常に多用する

・ とりあえず好物はバナナ

・ 嬉しくなるとついリトハゴッド

・ 『人身事故で停止』序盤の皿地帯を片手で回しつつ、もう片手でバナナを食べる

・ その日打った鍵盤の数だけバナナを食べている

 

これらの真相はゴリラ人間のみぞ知るところである…。

 

なぜ“ゴリラ”であるのかは不明であるが、他人から異次元扱いされるほどに至ってしまった、いわば“超人間への敬意や畏敬を込めた名称であることは間違いないようである。そして一般的に、軽蔑というよりは褒め言葉として使われることのほうが多いようだ。


 “ゴリラ人間”という言葉の流行のため、以下のように難易度表の特にレベルの高い曲の呼び名が変わってしまったというケースもある。


Forceful Beat → Gorillaful Beat

Plasma Strike → Gorilla Strike


なおゴリラ人間になってしまうと、『Forceful Beat』終盤のバスドラ連打がドラミング(※ゴリラが両手で胸を叩く威嚇動作)に聴こえてきてしまうらしい…。

 

 

 

“第2章 考察編”はこれにて終了です。ここですっかり堅くなった頭を柔らかくしよう!ってことで、次章からは実際に難易度表に掲載されている曲を気まぐれにピックアップし、主に餡蜜に重点を置いた攻略などをやってみようと思います!

・・・書きながら課題曲を考えるというノープランっぷりですが()


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